教養としての社会保障

著者である香取氏は厚生労働省で以前勤務しており、社会保障の仕事に長年携わってきました。香取氏は日本国民が社会保障について理解していないことに歯痒さを覚え、この本を書く経緯となりました。

この本は300ページにも及ぶボリュームで非常に読み応えのある内容です!

また、本書は三部構成となっており、第Ⅰ部は社会保障の基礎について、第Ⅱ部はマクロ視点(一国の経済視点から見る事)からの日本の社会保障の有様について、第Ⅲ部は日本再生のための社会保障の役割について書かれてあります。

日本が現在GDPの2割を占める社会保障においてどの立ち位置にいるか、様々なデータや海外の施策を基にわかりやすく記述されており、初心者の僕でも理解することができました。

多岐に渡る内容の中で僕が思う、著者が最も訴えたい部分がありました。

それは第Ⅲ部の第9章の「企業の子育て支援協力は必須」という部分です。

ここでは著者が社会保障大国フランスを例にとって、経済界は間違いなく有益者となりうるから率先して子育てを支援するべきと書いています。

そして、最後に「世の中に保育所がなくなったらどうなります?あなたの奥さんは?あなたの子どもは?そしてはあなたの会社はどうなりますか?」と強い問いかけを示しています。ここまでの強い問いかけはこの部分だけで、ほかの部分では見られませんでした。

著者は当時、迫る少子高齢化問題に対して抑止しようと努力していたが、企業が協力的ではなかった事に非常に歯痒い思いをしていたんだなと思いました。そして今の結果に嘆いているのでしょう。

また同じ章では著者が考える改革について書いてあり、至ってシンプルな答えなのですが、論理的にかつ簡潔に記されており、感銘を受けました。

正直、社会保障について何も知らない人は読んでいてつらい部分があると思いますが、もし理解出来たら、新聞やニュースで社会保障について取り上げられた時、「ミクロ」だけでなく「マクロ」の視点から物事を考えることができるようになると思います。そして、多くの人が「合理的無知」という選択肢を取っている中、この本から社会保障について様々なことを学び、多角的な視点を持って事象を捉えるようになってはいかがでしょうか。

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